大学を中退した日から、私は親や同級生になるべく会わないようにしていました。
「仕事はどうするの?」「大学中退して、今何してるの?」という質問をされることが怖かったからです。
同級生が就職しサラリーマンとして奮闘する中、私はただのフリーターでした。
就職活動をしているのなら、まだ気持ちが楽だったかもしれません。
しかし私が目指していたのは、就職せずに個人で収入を得るフリーランスです。
「大学を中退して独立しようとしているやばいやつ」と思われているのではないかと、常に周りを気にして生活していました。
「成功するのはほんのひと握り」「結局学歴」だと何度も言われ、迷いが生まれることもしばしばありました。
「気にするくらいならいっそ誰にも会わないようにしよう」
そう思い、ひたすら勉強に時間を使うことにしました。
そんな大学中退者の私でも、今はフリーランスとして家族を養っています。
今回は、大学を中退したその後の人生について、私の経験も交えて考えてみたいと思います。
大学を中退した理由
私は、大学4年間を部活に捧げました。
その部活は応援団です。
応援団での活動は本当にワクワクの連続でした。人数も少なかったので、自分たちで新しいことがしやすい環境であり、時代を創れる興奮が常にありました。
その反面、大学の授業は、どうもつまらないものが多く、ほとんどに興味を持てませんでした。
ただの怠慢といわれるかもしれませんが、授業に行くことが苦痛になりました。
勉強が嫌いだったわけではありません。本は毎日欠かさず持ち歩いて電車などで読んでいましたし、常に新しい知識を取り入れようと意識していました。
しかし、大学での勉強は「大卒」という肩書きを手に入れるために単位取ることが目的になっているように思い、ワクワクしませんでした。
いつしか全く授業に行かなくなってしまい、応援団の練習のために大学に行くようになってしまいました。
4年生までに必要な単位が全然足りておらず、お金を払って留年するか、大学を中退して働くかを天秤にかけた時、私にはもう一年大学に通うお金など到底ありませんでした。
そこで大学を中退する道を選択することにしたのです。
大学を中退したらその後どうなった?
自閉症スペクトラムだった私は、平均的にできることが少なく、会社員となってみんなと一緒に働くことが難しい状況でした。
営業や事務などのほとんどの仕事はできなさそうでした。
また、輝かしい応援団時代から大学中退者への転落という事実から、精神状態もかなり不安定でした。
そこで、組織に所属して人と関わるお仕事ではなく、個人で物を作ることによって収入を得られる仕事を探しました。
そうすると、フリーランスとしてプログラミングで収入を得る仕事があることを知りました。
家で仕事ができて、学歴も関係ない。
消去法での選択でしたが、これしかないと思いました。
いきなりフリーランスになって働けるわけではないので、とりあえずフリーターとして一年ほどプログラミングを勉強することにしました。
バイトの合間に毎日10分でも勉強すると決めていましたが歩みは遅く、親からは会うたびに「仕事はどうするの?」と聞かれていました。
それが嫌だから、親とは会わないようにしていました。
大学時代の友人に会うと、「社会不適合社だから」「カースト低い」「中卒だから」などを自虐ネタをして、自分を保っていました。
それが嫌だから友人とも会わないようにしました。
アルバイトの給料は月8万円ほどで、生活費などを引くと自由に使えるお金は5,000円くらいでした。
生活はかなりきつく、食費などはかなり削って生活していました。
当時彼女と同棲していたのですが、彼女は私よりも収入が多く、お金の面では助けてもらうことばかりした。
そんな自分が情けなく、「早くフリーランスになって仕事がしたい」と常に思っていました。
大学中退からのフリーター期間は、一言で表すなら「劣等感」。私にとっては苦しい期間でした。
フリーランスになって初めてのお仕事をいただく
ある程度技術がついてきて仕事ができるようになったと判断した私は、税務署に開業届けを提出しました。
いよいよフリーランスとして、挑戦していくのです。
運が良いことに、私は開業してすぐにお仕事をいただくことができました。
とりあえずクラウドソーシングサイトに登録したところ、地元の企業からお仕事のご依頼があったのです。
初めてのお仕事では、私にとって絶対にものにしたい、すごく重要なお仕事でした。
この仕事ぶり次第でその後継続してお仕事をいただけるかどうかが関わってくると確信していたからです。
しかし、初めてのお仕事は全然だめした。
明らかな技術不足、経験不足で、かなり多くの修正を出してしまいました。
普通なら愛想をつかれて即契約を終了されるレベルです。
しかしその企業は、私を温かく見守ってくださり、「ゆっくりでいいからどこが違うか確認しながらゆっくり直してみてください」と、チャンスを与えてくださいました。
私はこの時の経験を決して忘れません。
あの時から仕事では確認を怠らない、完璧は難しいかもしれないけど完璧を目指して常に成長することを意識するようにしてきました。
その企業からは、ありがたいことに継続してお仕事をいただき、一つ一つに案件にしっかり向き合って着実に技術を伸ばしていきました。
その結果、他の企業とも数社契約できるようになり、フリーランスでのお仕事がなくなることはほとんどありませんでした。
子供が産まれてからは出費も増え、苦しい生活を送ることもありましたが、今日までなんとか生活ができています。
大学を中退後、仕事はどうする?
大学を中退後、やるべきことは仕事を探すことです。
では、どんなふうに仕事を探すのが良いのでしょうか。
就職先を探す
おそらくほとんどの大学中退者の方は、ハローワークに行って就職先を紹介してもらうことをまず選ぶと思います。
しかし、最終学歴は高卒になるので、大卒者と同じような企業には就職が難しいと思います。
私は、就職先を探すのは悪くないと思います。
なぜなら、私たちはお金がないと生活ができません。
しかし、「みんなこうするから」という理由で就職しようとしているなら、それは間違っていると思います。
人生は自分で選択するものです。
妥協するのではなく、「就職したいからする」という理由で就職先を探してほしいです。
フリーターになってやりたいことを探す
とりあえずフリーターになってやりたいことを探すという人もいます。
しかし、私からすると、これはあまりお勧めできません。
やりたいことは探すのではなく、選ぶものだからです。
現在持ってない選択肢がやってくることを期待するより、今ある選択肢の中から何を選ぶかが重要です。
その選択肢の中から一番やりたいことを決めたら、今日からそこに向かって進み始めましょう。
ただし、大きく一歩を踏み出してはいけません。
自分が続けられる範囲で少しずつできることを日々やっていくのです。
一獲千金を狙う
全てを投げ打って投資をする、起業をする。
これはかなりお勧めできません。率直に言って、危険すぎます。
やりたいことがあるのは素晴らしいことです。
しかし、大学を中退して不安定な状態にあるのなら、もっと安全に成功できる方法を選びましょう。
フリーターをしながら、技術を磨く。
一番おすすめはこれです。
フリーターは、給料は少ないけど時間に余裕があります。
しかし、就職して正社員になってしまうと、会社での拘束時間が長いから勉強する余裕など持てないと思います。毎日努力を続けられないと、成功することは難しいです。もっと肩の力を抜いて努力できるような環境を選びましょう。
そして、どんなお仕事を選ぶかも非常に重要です。
一番お勧めするのは、技術を提供することで収入を得るお仕事です。
技術を提供することで収入を得るお仕事は、人一倍の誠実さと最低限の技術さえあればお仕事をもらうことが可能です。
また、お金がない大学中退者の方にとっては、最初の資金がかからないという点も非常に重要です。
最初の資金が要らず、技術を提供することでお金をいただくお仕事の例
- デザイナー
- プログラマー・エンジニア
最初に資金がいる、技術を提供することでお金をいただくお仕事の例
- 美容師
- 飲食店経営
大学中退は最高
大学を中退することは、大学という枠内ではかなり軽蔑されることでした。
私自身も、単位が取れていないこと、卒業ができないことを多くの人に笑われました。
その度に私は自分が恥ずかしく、その事実を隠したいと思いました。
しかし、今こうして振り返ってみれば、私は大学を中退していなければ、フリーランスとしての自由で楽しい暮らしは手に入っていなかったでしょう。
そう思えば、当時大学を中退しどん底をさまよった私は、チャンスを得たということだったのです。
人生は、常に選択の連続です。
その時の状況に合わせて常にベストな選択をする人が成功できる人だと思います。
あなたが今持っている選択肢の中からとびきりいい選択肢を選んでください。
私は一般的に、大学中退フリーランスとして成功したと思われているかもしれません。
しかし、私はまだ成功などしておりません。大事なものを手に入れるために、今でもあの時と変わらず、毎日やるべきことを着々とこなしていくだけなのです。
「大卒→就職」というレールをはずれたことは、選択肢が増えたということです。
いいことでも悪いことでもありません。そのたくさんの選択肢から、とびきり良い選択肢を一つ選んでください。そして、今日から小さくよちよち歩きでゆっくり進んでいきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました!